愛されて育った子と、
親を喜ばすことに必死だった子どもとでは
生きてきた世界が違う。
愛されて育った子は、
人の期待にも応えなくてもいい
ということを知っているし、
そうしても
拒否されないと感じている。
嫌いなものを嫌いと言っても
拒否されないという安らぎの世界で、
子どもは心理的に成長していく。
・・・
親を喜ばすことに必死だった子どもは、
体調が悪くても、
出された料理を全部食べようとする。
彼らは人の期待に背くことはできない。
人の期待に応えることで
好意を得ようとしている「良い子」
それが愛を知らない子どもの世界である。
不幸という名の電車は、
幼児期から走っている。
このように、
愛情欲求が満たされない環境で育った人は、
相手からの優しさを強く求める。
・・・
そして
相手からの優しさを
強く求めていればいるほど、
憎しみの矛盾も激しいものになる。
だから
反対感情併存の苦しみは
親子関係、恋人同士、配偶者間についても
おこりうる心理状態だ。
孤独な人は
誰かれ構わず優しさを求める。
甘えているものは傷つきやすい。
現実の世界では
甘えが満たされないからだ。
そして
傷つくから憎しみを持つ。
けれども
相手に心理的に依存しているから
離れられない。
その憎しみを
直接的に吐き出せば
素直になれるが、
吐き出せないから
不機嫌に押し黙る以外にはなくなる。
・・・
メル友には、
この愛と不安の怒りの
複雑な心理がない。
実際の人間関係よりも、
こうしたメル友の方が
付き合うのには心理的には
楽である。
しかし、
そこからは
感動などの
信の人間関係の喜びは生まれない。
加藤 諦三・著
ー「不機嫌」と「甘え」の心理 よりー
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